塚本晋也監督「野火」で特別賞 【第7回TAMA映画賞授賞式⑨】

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こんにちは、東京散歩ぽです!

2015年度の国内映画賞のトップを飾る「第7回TAMA映画賞」の授賞式が東京都多摩市のパルテノン多摩で開かれました。(写真協力・

特別賞
塚本晋也監督、及びスタッフ・キャスト一同「野火」

塚本晋也


受賞理由は「戦場での真の恐怖や痛みを今の観客に追体験させ、幅広い世代の心のなかに強く深く永く刻まれる作品となった。」

塚本晋也監督は「すごい緊張しています。『野火』は完全な自主映画でして、何十年も前からずっと作りたかった映画なんです。この映画はいつか自分が歳をとって”巨匠”と呼ばれるような監督になったら作るぞと思いました。自分のスタッフと尊敬する俳優さんをフィリピンに全員連れてって、超大作を作ろうと思ったんです。3年前に作ろうと思ったのは、今の時代の風潮が非常に危険なものに感じまして、今この戦争映画を作らないと、この後は作るチャンスがないんじゃないか、そして作っても誰も見てくれないんじゃないかというような異常な危機感を感じて無理くり作り始めました。ですから最初は全くお金の根拠もなく作り始めたんですけど、スタッフもTwitterで募集して、ほぼ全員ボランティアのスタッフと途中で奇跡のように現れたくださった応援部隊の皆さんと手を組んで作りました。キャストの方もほとんどの方がボランティアで、今度の企画に共感をしてくださって関わってくれたスタッフとキャストによってつくられた映画ですので、今回の賞はスタッフとキャスト全員にくださった賞でこの映画にとって非常に名誉で嬉しいです。いま天国にいらっしゃる原作の大岡昇平さんもスタッフの一人ですので、大岡さんもほくそ笑んでいらっしゃると思います。ありがとうございます。」と受賞の挨拶をしました。

今年8月の公開以来、観客動員数は6万人を超え、いまの全国各地での上映が続いています。監督ご自身はこの反響の理由はどこにあると感じてますでしょうか?

「作り始めた時は非常に心細い状況で作り始めていました。『野火』の原作は40年前くらいに始めて読んだんですけど、その頃の戦争というのは最も近づいてはいけないものだったんです。その時はこれは普遍的なテーマだったのでたっぷりとした気持ちで作れると思ってたんですけど、だんだんこう言う映画を作ることが不謹慎と言えるような雰囲気さえ漂ってきたので、もしかしたら何十年もやりたかった映画が作れないんじゃないかと、あるいは作っても誰も見てくれないんじゃないかと思ってました。現にその時、時代は大きく変わっているのに、変わっている動きに対して反応する人もなく、どうなっちゃうんだと思ったんですけど、ある時期から特に若い人が今のこの時代に疑問を感じて声を上げるようになって、そういう意識が高まったので、この映画も見てくださるようになったのかなっと思います。」

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↑永松役で出演した森優作さん、塚本監督の現場はいかがだったでしょうか

「自分は映画の現場もお芝居をすることも全くと言っていいほど経験がなかったんですけど、オーディションで塚本監督にお会いした時に、監督の眼を見て、この眼は本当にすごいなと思ってついていこうと思いました。とにかく塚本さんが映画にして作品にして実現したいことを具現化できるようにということだけを考えてやったつもりです。」

塚本晋也

塚本監督自身も田村一等兵として出演され観客を引き込む素晴らしい演技でしたがいかがでしたでしょうか?

「これはどうでもいいです(笑)すいませんて感じです。とにかくお金がなかったんですね、始まった時はこんな映画になると思わなかったので、最初は一人でフィリピンに行って小さなカメラを持って自分が兵隊さんの格好をして、自分で撮って自分で演じるという”自撮り映画”から始めようと思ったんです。そうすれば交通費も自分一人で済みますし、自分でやろうと思ったのが最初になります(笑)」と撮影時のエピソードを織り交ぜてスピーチしました。

映画「野火」は現在も全国で公開中、また塚本監督が尊敬するマーティン・スコセッシ監督の最新作でリーアム・ニーソン主演の「Silence(原題)」にも出演されるそうです。

第25回TAMA CINEMA FORUMは2015年11月21日(土)から29日(日)まで東京都多摩市の3会場4スクリーンで開催中です。

第7回TAMA映画賞受賞作品・受賞者はこちら!
最優秀作品賞
海街 diary」(是枝裕和監督、及びスタッフ・キャスト一同)
きみはいい子」(呉美保監督、及びスタッフ・キャスト一同)

特別賞
塚本晋也監督、及びスタッフ・キャスト一同「野火」

最優秀女優賞
樹木希林(「あん」「駆込み女と駆出し男」「海街 diary」
綾瀬はるか(「海街 diary」)

最優秀男優賞
永瀬正敏(「あん」「KANO〜1931 海の向こうの甲子園〜」)
綾野剛(「新宿スワン」「ピースオブケイク」「天空の蜂」「ソレダケ/that’s it」「S-最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」)

最優秀新進女優賞
広瀬すず(「海街 diary」「バケモノの子」)
杉咲花(「トイレのピエタ」「愛を積むひと」「繕い裁つ人」)

最優秀新進男優賞
中島歩(「グッド・ストライプス」)
野村周平(「愛を積むひと」「日々ロック」「ビリギャル」「台風のノルダ」)

最優秀新進監督賞
岨手由貴子監督(「グッド・ストライプス」)
松居大悟監督(「私たちのハァハァ」「ワンダフルワールドエンド」)

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