福井県南越前町今庄に伝わる「今庄つるし柿」は、全国でも珍しい燻製にした干し柿。その味わいは、これまで食べてきた干し柿とひと味もふた味も違いました。
本記事は世界文化社運営のメディア「レアニッポン」にて2018年12月に掲載されたものですが、「レアニッポン」閉鎖に伴い、当ブログに記事を移行し加筆しました。
一つ食えば一里歩ける「今庄つるし柿」
「今庄つるし柿」の歴史は、約450年前の室町時代。岐阜県から「長良柿」という柿を持ち込まれ、作り始めたのが始まりとされています。現在では今庄でも「長良柿」が栽培され、「今庄つるし柿」を作る際に用いられています。今庄は福井県でも最も雪深いところの一つで日照時間も少なく、通常の製法の干し柿ではカビが生えてしまうそう。そのため、囲炉裏で燻した干し柿が定着したのです。
北国(ほっこく)街道の宿場では、「一つ食えば一里、三つ食えば三里歩ける」といわれ、旅人の携帯保存食として知られるようになったそう。
「今庄つるし柿」の作り方は、一つ一つ丁寧に柿の皮を剥くところから始まります。
職人さんが持っているのは、木のさじに金具が付いた元祖ピーラーともいえる皮むき器。
まずはヘタの部分を丸く剥いたあと、縦方向に皮を薄く剥きます。
実際に体験させていただきました。ベテランの職人さんは一つ剥くのに1分もかかりませんでしたが、僕は綺麗に剥くのに5分くらいかかってしまいました。
皮を剥いた柿は、道芝(みちしば)で編んだ紐にヘタの部分を引っ掛け、吊るして燻製にしていきます。
柿は3~4日ほどいぶしたあとお湯で洗い、揉んでタネと実をほぐします。その後、晴れた日に1~2日天日干しして、再び乾燥させます。
乾燥させた柿は、元のサイズの半分以下に。
今年はまだ仕込み前だったため、昨シーズンに作られたものを試食させていただきました。デーツのような肉厚の実は独特なスモーク感、そして深みのある大人向きの甘味。ブランデーにつけて食べたり、チーズとのマリアージュを楽しむ人も多いそうです。
お話をうかがった株式会社杉休(さんきゅう)の三浦政勝さん。「最近は、海外からもお問い合わせをいただきます。今庄つるし柿を次世代へ繋げ、地域の活性化へも繋げられるよう頑張っています」と話してくれました。
古の旅人が携帯保存食にした「今庄つるし柿」。その伝統の滋味を、あなたも味わってみませんか。僕もワインとのマリアージュを楽しませていただきました。
取材協力:福井県観光営業部ブランド営業課
杉休
住所:福井県南条郡南越前町二ツ屋119-6-2
TEL:0778-45-0239
URL:http://imajo39.com/
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