毎年11月6日に“越前がに漁”が解禁になる福井県。三国港のすぐ近くには、地元を代表する和菓子店があります。今回は、1921(大正10)年創業の老舗「酒万寿処 にしさか」で、名物の酒まんじゅうと水ようかんをいただきました。
本記事は世界文化社運営のメディア「レアニッポン」にて2018年11月に掲載されたものですが、「レアニッポン」閉鎖に伴い、当ブログに記事を移行し加筆しました。
福井県では、冬に水ようかんを食べるんです
水ようかんというと「夏」の甘味というイメージが強いですが、ここ福井では1960年代頃から冬に水ようかんを食べる食習慣が根づいています。
「酒万寿処 にしさか」さんでも、水ようかんの販売は11月初旬から3月中頃までの冬季限定。店先には冷やし中華よろしく、「水ようかんはじめました」の看板が。
福井の水ようかんは、箱に直接ようかんを流し込むスタイル。箱には木ベラが1つ付いています。福井の皆さんは、木ベラが口につかないようにしながら、家族みんなで水ようかんを食べるそう。
酒万寿処 にしさかの酒まんじゅう
店内には、真っ赤な大きなまんじゅう箱がいくつも積み上げられていました。福井の嶺北(れいほく)地域では、婚礼の際に嫁入り道具とともにまんじゅう箱にたくさんのまんじゅうを入れ、嫁ぎ先の親戚の方々に振る舞うそう。
こちらが酒まんじゅう。1個130円(税込み)。
三国まんじゅうともいわれ、作り方は北前船の船頭さんによって伝えられたとされています。「長」の字の焼き印がシンボリック。この焼き印は、お店ごとに異なるそうです
この日は、実際に焼き印を付けるところを拝見しました。もち米と糀を用いた甘酒を熟成させ、小麦粉を加えて発酵・熟成させた種で餡を包み、蒸し上げた酒まんじゅう。お酒の芳しい香りがします。これを、トレーの上に20個並べます。
こちらが焼き印専用の機械。トレーをセットし、ボタンを押すとトレーが上昇。「チリチリチリ」と、焼き印が押される音が聞こえてきました。約40秒で焼き印が完了です。
焼き印を押したての酒まんじゅう。ちなみに「長」という字は、にしさかの創業者「西坂長次郎」から取っているそうです。
できたての酒まんじゅうを早速いただきます! 焼き印が押されたところはパリッと、中はふんわり。お酒の匂いで、ちょっと幸せな気分になれます。餡は甘さ控えめで、飽きのこない味わい。やっぱり、蒸し&焼きたてが一番おいしいそうです!
「まんじゅうが固くなったら、地元の人は油で揚げて、揚げまんじゅうにして食べている方も多いです」とのこと。
親子2代で切り盛りする老舗和菓子店は、2年後に創業100周年を迎えます。
取材協力:福井県観光営業部ブランド営業課
酒万寿処 にしさか
住所:福井県坂井市三国町北本町4-2-14
電話:0776-82-0458
営業時間:8時~19時30分
定休:木曜日
URL: http://www.nisisaka.com/
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