新潟県柏崎市で良寛の弟子・貞心尼ゆかりの地をブラブラ歩く

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江戸時代後期の僧侶で、素晴らしい詩や歌が現代に伝わる良寛。

その最晩年の弟子とも言える貞心尼は新潟・柏崎のゆかりの人です。良寛から影響を受け、歌集も遺した貞心尼(ていしんに)は人生の半分ほどを柏崎で過ごしました。

このたび、柏崎市からご招待頂いたプレスツアーで、貞心尼ゆかりのスポットを、柏崎市の観光ガイドであり、良寛・貞心尼を慕う会代表の中村由紀子さんの案内で回ってきました。

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良寛の弟子・幕末の女性歌人の貞心尼

貞心尼は1798年(寛政10年)に長岡で産まれ、23歳で仏門に入ります。30歳で良寛の弟子となります。

40歳年上の良寛は、その4年ほど後に亡くなりますが、最後は貞心尼が献身的に介抱し、看取りました。

二人は歌を通した深い交流と絆のあった関係だったと言われて、良寛を取り上げた小説やドラマにも貞心尼は登場します。

まずは貞心尼のお墓へ

最初に向かったのは貞心尼のお墓です。

市内の洞雲寺(とううんじ)に尼僧のお弟子さんが建てたお墓があります。木々の生い茂る墓地を奥に進んでいくと目に入ってくるお墓は立派なモノ。墓石には辞世の句が刻まれているそうです。

柏崎市は地震や火災で歴史的なモノが多く失われているそうなのですが、こちらの花立(はなたて)だけは、貞心尼が最後に住んだ不求庵にあったものと言われています。

貞心尼托鉢の像と「蓮の露」の歌碑などは柏崎図書館の敷地内に

ソフィアセンター(柏崎図書館)には、貞心尼に関する資料や碑・像がありました。

貞心尼托鉢の像は生誕200年を記念して建てられたもので、良寛のいた出雲崎の方を向いているそうです。

貞心尼自筆の歌集「蓮の露」の歌碑も建てられています。

柏崎図書館は1996年に現在の土地に移りましたが、それを記念して建てられた歌碑なのだとか。ここには貞心尼と良寛の唱和の歌が刻まれています。

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また、図書館内には貞心尼・良寛に関係する書籍も特集して陳列されているほか、貞心尼のDVDも視聴できます。どのような生い立ちから亡くなるまでの物語を知ることができました。

貞心尼剃髪の地「閻王寺跡」

現在は「番神」と呼ばれる土地にあった閻王寺で、25歳のころに剃髪したそうです。武家の娘として生まれた貞心尼は結婚・離縁を経て出家を決心したとのこと。

道路脇にぽっこりと丘が。急な石造りの階段と石碑がありました。

階段を上った鳥居の奥には小さなお堂がありました。

閻王寺は本尊は阿弥陀如来像で、名前の通り閻魔大王の像もあったそうです。

釈迦堂跡

1841年から1851年、不求庵の前に貞心尼が住んでいた釈迦堂の跡地も保存されています。1851年に消失し、貞心尼は不求庵へ移りました。

釈迦堂はその後再建されたものの、1979年の道路拡張で壊されたそうです。

地蔵の上部が欠けているのは震災で倒れた影響なのだとか。被害の大きさがうかがい知れます。

釈迦堂時代の貞心尼の所持品が保存されている常福寺

常福寺には、釈迦堂に住んでいたころの貞心尼の所持品が保存されています。良寛の弟子の遍澄が描いた良寛の肖像画も保存されており、事前に許可を得ていればそのレプリカを見ることができるのだそうです。

晩年の貞心尼を支えた極楽寺

貞心尼が終の棲家となった不求庵で暮らしていたころ、世話をしていたのが極楽寺の静誉上人(じょうよしょうにん)でした。

その繋がりがあったからか、貞心尼から上人に贈られた「もしほ草」や上人が描いた晩年の貞心尼の病中図が所蔵されているのが極楽寺です。

貴重な貞心尼の肖像画や、貞心尼屏風を見られました。個人的な感覚かもしれませんが、肖像画って「その人が実在していた証」感が強いんですよね。

お寺の前のイチョウの木が印象的で、木もさることながら庭に落ちている銀杏の数がすごいのなんの。

僕はこの香りが嫌いではありませんが、苦手な人は季節を選んで訪れるといいかもです。

アーケードに並ぶ貞心尼歌碑

歌人としても名を残している貞心尼。その歌碑が12基、駅前のアーケード通り「潮風ロード」に設置されています。新潟県のホームページから「貞心尼ゆかりの史跡めぐり」のPDFに地図がありますので、これを引用して表示します。

貞心尼が歌を綴った主な書物には

やけの(焼野)の一草
もしほ草
蓮の露(はちすのつゆ)

があります。これらから、あるいは柏崎市立図書館に所蔵されている半切から抜粋した12歌が歌碑となっています。

観光ガイドが貞心尼ゆかりの史跡を案内してくれる

貞心尼が土地の誇りになっている人であり、没後150年を過ぎた今も愛されていることがよくわかるツアーでした。

柏崎市は2004年10月の新潟県中越地震、2007年7月の新潟県中越沖地震という二つの大地震の被災地です。貞心尼の時代だった江戸時代末期からの月日の流れと、度重なった災害で倒壊・焼失したものがたくさんありますが、多くの人の努力で維持・復元しているものもあるんですね。

こうした貞心尼ゆかりの地は、観光ガイドと巡る無料紹介コースがあります。資料・申込・問い合わせは

柏崎観光協会
電話:0257-22-3163
営業:9:00~17:00(年末年始休)
貞心尼ゆかりの史跡めぐり

をどうぞ。

今回の訪問地

今回の訪問地をマイマップにまとめました。訪問する際のご参考にどうぞ。

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