関ケ原の合戦の舞台を歩き、知識と体験で戦国の歴史に触れてきた

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関ケ原の合戦が起きてから423年後の2023年9月15日、岐阜県から合戦の現場である岐阜県関ケ原町にお招きいただき、合戦の始まりを告げるのろしや鉄砲隊による発砲を見学するプレスツアーに参加して参りました。

戦国時代好きな私でしたが関ケ原は未訪問。楽しく見学できました。

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関ケ原の戦いが始まった時刻にのろしが上がる

合戦の起きた9月15日は関ケ原町にとって特別な日なのだと思います。同日から4日間、関ケ原観光の中心となる岐阜関ケ原古戦場記念館では「関ケ原合戦の日イベント」と名打って、さまざまな企画を行ないました。その始まりが、開戦の「のろし」上げと、鉄砲隊演武です。

諸説ありますが、関ケ原の戦いは朝の霧が晴れた午前8時ごろに始まり、午後2時ごろに終わっています。徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍の兵力はあわせて15万人を超えており、これだけの大規模な戦いがこの短時間で終わったのが不思議です。どんなきっかけがあったのかは皆さんご存じかもしれませんね。

のろし上げと鉄砲隊の演武は、戦闘が始まったとされる午前8時に始まりました。

場所は、黒田長政と竹中重門が陣を張った「岡山(丸山)烽火場」。2020年に開業した岐阜関ケ原古戦場記念館の展望室から見学しました。同記念館は戦勝後に家康が首実検などをした「徳川家康最後陣地」から近い場所にあり、関ケ原一帯を散策する際に拠点となるスポットです。

のろしが上がったあとに火縄銃が発砲するシーンが目に飛び込んで来て、すこし遅れて発砲音がやってきます。なるほど、このタイミングで東軍の松平忠吉・井伊直政隊が戦闘を仕掛け、同じ東軍の福島正則が「抜け駆けだ!」と怒って戦闘を始めたところから、関ケ原の合戦が始まりました。

図やイラストで位置関係はわかっていましたが、現地に身を置いて、その場に立ってみることで初めてわかる感覚があります。

なお、展望室の床は関ケ原の航空写真になっており、同心円が描かれています。どの部隊がどこに陣を張ったのかもわかり、当時の様子が一目でわかります。腰をかけるクッションが軍勢を表す記号の形をしているのもポイントですね。

発砲体験も

展望室から見学した鉄砲隊の演武を、演武が行なわれた岡山烽火場を訪れて間近で見学できました。記念館から15分ほどかけて歩き、岡山烽火場へ向かいます。坂を上り、竹林を抜け、軽く息が切れたころに到着しました。

見学者が到着したタイミングで、再び発砲のデモをしていただきました。かけ声で、数名の射手が一斉に発砲します。火縄銃から1~2メートルほどの距離で聞くと、火薬の音が耳から心臓に抜けるかのようでした。

その後、火縄銃を構えさせていただいたり、ガスを使った空砲の発砲をさせて頂いたりと、関ケ原の合戦当時の兵士の体験をさせて頂きました。

およそ3キロの重さがある火縄銃は、長さもあり、構えるとずっしりとした感触です。これを長い時間構えで姿勢を維持するのも大変です。銃の先端を何かに乗せられれば楽になるでしょうね……、と、それは長篠の戦いの織田信長の戦略か!

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家康の本陣跡を回る

次に、家康の本陣跡を回りました。合戦の最後に首実検などをした場所となる「徳川家康最後陣地」と、合戦が始まったときに陣を構えていた「徳川家康最初陣地」です。最後陣地は岐阜関ケ原古戦場記念館の裏手にあり、今は一面の芝生スペースとなっています。近所の方も気軽に入ってこられそうな場所でしたよ。

最初陣地は、歴史好きならご存じの桃配山にあります。最後陣地からおよそ2.5キロ東にあり、1600年9月15日に家康がどう陣を動かしたかが分かります。

桃配山は高さ104メートルほどあるそうで、最初陣地は最高地点ではない小高い丘の部分に作っていたようですね。この日は家康のパネルと、幹部が座る床几(しょうぎ)のセットがあり、徳川軍の気分が味わえるようになっていました。

笹尾山の石田三成の陣地跡から関ケ原を望む

合戦の際、石田三成が陣を張った笹尾山の名前も、歴史ファンには有名です。関ケ原を一望できる丘の上にあります。

平地部から100段ほど上ったところに広がる陣跡からの見晴らしは最高でした。他の陣地ほど高くないかもしれませんが、位置が良いのでしょうね。この地に陣を張った三成のセンスを感じました。

展望台には、ここから何が見えるかの説明書きがありました。これを見ると、この陣地から東軍の様子が手に取るように分かります。関ケ原の合戦の両軍の初期配置図を見ると、鶴翼の陣を張った西軍が圧倒的に有利、と映ったのがよく分かります。笹尾山から西軍の配置を見た三成は、戦局を有利に進められるのではないかと考えたのではないでしょうか。

笹尾山交流館では甲冑体験も

次に、笹尾山の東にある関ケ原笹尾山交流館を訪れました。ここでは甲冑を着る体験ができます。90分で、子ども甲冑が1,100円、大人用甲冑はグレードに応じて1,650円から5,500円までのメニューがあります。

早速、私も着てみました。衛生上の理由から、その日すでに着られた甲冑は選択できませんでしたが、残っているものを見てみると、敬愛する武将・島左近の甲冑があるではありませんか。

甲冑を着るにはものすごい点数の部品を装着しなければなりませんでした。

どんなに詳細な説明を聞いても体験時間内に一人で装備するのは無理でしょう。という理由かは分かりませんが、スタッフの方に着せて頂きました。そういえば時代劇なんかでも、主人の甲冑を部下が着せているシーンがありますね。

作務衣を着た私に着付けて頂きます。二人がかりで10分くらいかかったでしょうか。とりわけ上半身に装具が多く、着慣れない私としては動くのが大変なくらいでした。刀を持っている敵は上半身を狙うことが多いのでしょうから、上半身の守りが厳重になるのは仕方ないとも思いますが、それでも甲冑を着て動くのは大変です。

逆に下半身は案外軽く、足を動かすのは楽でした。

建物の内外で動いてみました。外は体感で35度を超えている日差しで、この状態で長く外出したら熱中症になってしまいそう!ということで、残念ながらこの日は短めに楽しんで終了することに。

上の写真は島左近の装いをした私があろうことか主君の石田三成公に斬りかかってしまっています。誠に申し訳ございません。

あの甲冑、もしかしたらこれよりも重いものを身にまとって戦場を駆け回ったのですから、戦国時代の武士たちは体力があったのだな、と痛感しました。よい記念になるので、オススメですよ!

関ケ原戦国甲冑館で「本物」を見る

関ケ原は戦国時代ファンにとって魅力ある場所が多すぎです。戦国時代ファンならこの地に移住してくる方もいるんじゃないですか?と県の方に伺ったところ

いらっしゃいますよ。古民家を買い取って移住して、所有する本物の甲冑を展示している方もいます

とのこと。その展示館である「関ケ原戦国甲冑館」も記念館の近くにあることから急遽見学させて頂くことになりました。訪問時は関ケ原の合戦が起こった日だったこともあり、甲冑の展示がメインとなった特別営業だったようです。

二部屋ほどのスペースで、昔の人が実際に着用したという30以上の甲冑が所狭しと並ぶ姿はまさに壮観。通常展示の状態でも見に行ってみたいなと思いました。

岐阜関ケ原古戦場記念館はかならず訪れたい

関ケ原の名所を回る際に、その中心にあることから、ベースキャンプのような存在として頼りになる岐阜関ケ原古戦場記念館。2020年10月にオープンしました。

記事冒頭の展望台も、この記念館にあります。そのほか、見所は本当にたくさんありますよ。

本館内部では、ちょうど記事執筆時点で放送されているNHK大河ドラマ「どうする家康」のパネルやサインが展示されていたり、人気戦国ゲーム「信長の野望」シリーズのイラストで有名な長野剛さんの武将イラストがこれでもかっ!と展示されています。

どの武将も本当に格好良い。関ケ原の合戦で世間一般の評価が決して高くない小早川秀秋ですら、格好良い。

デジタルコンテンツも充実しています。合戦図屏風もデジタル化され、各部隊が実際にどのように動いたか分かるようになっていました。訪問時は、全6扇の屏風のうち右側の4扇が完成していたようで、部分的なデモだったようです。完成が楽しみですね

とりわけ驚いたのは、30分ほどの上映時間があるグラウンド・ビジョンとシアターでの映像コンテンツがものすごい高レベルで没入感がたっぷりだったんです。グラウンド・ビジョンは床面に投射された映像を俯瞰で眺めることで、関ケ原の合戦中の各部隊の動きを追えるコンテンツが。シアターでは映画のようなシーンが見られます。

権利の関係で写真などは載せられないのですが、フロアマップのページからグラウンド・ビジョン、シアターの写真をご覧ください。

関ケ原の戦いを、まるで実況動画のようにフルCGで見せてくれるのですが、まるで目の前に迫ってくるかのような映像です、火縄銃が放たれればフラッシュする場内、近くを馬がはしれば吹き込んでくる風、地鳴りのシーンでは揺れる椅子……。必見ですよ。

町が関ケ原の合戦を大切に

関ケ原の戦いになぞらえて、合戦にかかった時間でもある、およそ4半日で見て回れる所を案内していただきました。

さまざまな史跡を訪れる中で感じたのは、史跡以上にあらゆるところに関ケ原の合戦を感じられるな、ということでした。

電柱に戦国武将のトピックが出ていたり、ホース格納箱に戦国武将関係の旗印や言葉が記されていたり、マンホールのデザインがそれだったり。

JR関ケ原駅前にあるお土産やさんのコインロッカーには参戦した大名の旗印のあるロッカーがありました。石高の高い旗印のロッカーが容積が大きいというこだわりぶりです。

戦国時代最大の合戦の起こった土地は、今もなお戦国の空気をまとっているかのようです。すべての史跡を回ろうと思ったら、1日では足りないでしょう。

数日かけてじっくりと堪能したい場所だな、と後ろ髪を引かれる思いで見学を終えました。

岐阜関ケ原古戦場記念館

所在地:岐阜県不破郡関ケ原町関ケ原894-55
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、12/29~1/3
岐阜関ケ原古戦場記念館(公式サイト)

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