プールと温泉でリハビリするお馬たちを見学できるJRAの施設を見てきた【福島いわき】

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日本中央競馬会 競走馬リハビリテーションセンター

日本中央競馬会 競走馬リハビリテーションセンター

ここは福島県いわき市。JR常磐線湯本駅から車で約15分のところに、日本で唯一となる現役競走馬のリハビリテーション専門施設があります。それが日本中央競馬会(JRA)の競走馬リハビリテーションセンター(常磐支所)です。

本記事は世界文化社運営のメディア「レアニッポン」にて2019年8月に掲載されたものですが、「レアニッポン」閉鎖に伴い、当ブログに記事を移行し加筆しました。

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競走馬リハビリテーションセンター(常磐支所)

競走馬リハビリテーションセンターの入口

競走馬リハビリテーションセンターの入口

この競走馬リハビリテーションセンターでは、屈腱炎や関節炎など、脚をケガした競走馬たちが、リハビリトレーニングと検査を繰り返しながら復帰を目指しています。

取材時は24頭の競走馬が在厩。かつてはオグリキャップやトウカイテイオー、テイエムオペラオーなど、人々の記憶に残るスターホースたちもリハビリのために在厩していたことがあったとか。

場内にはダートコースなどのトレーニング施設や温泉施設などがある

場内にはダートコースなどのトレーニング施設や温泉施設などがある

今回は特別に許可をいただき、トレーニングする競走馬たちの間近で取材することができました! ちなみに施設は見学エリアからであれば一般の方でも、事前申し込みなしで見学可能です(団体の場合は事前に問い合わせを)。

入口横の厩舎でポニーのミミちゃんがお出迎え

入口横の厩舎でポニーのミミちゃんがお出迎え

「お馬さんのプール」?

「お馬さんのプール」?

入口手前に「お馬さんのプール」の看板を発見。馬が泳いでいるのかな?

スイミングプール

1周40mのスイミングプール

1周40mのスイミングプール

こちらは1975年に設置された競走馬用のスイミングプールです。円形のプールは1周40m(深さ3m)あり、1回のトレーニングで3〜5周します。通常、一般の見学はフェンスの外からですが、今回は特別にプールの近くで取材することができました。

スロープから入水

スロープから入水

ここでは毎年5月下旬から10月頃まで(この年は9月末まで)、月曜から金曜の午後1時30分から毎日5〜10頭が泳いでいます。プール外周のブリッジが開くと今日の1頭目、グローリーハンター号(牡/5歳)がスロープを下って入水してきました。

スムーズに入水するグローリーハンター号

スムーズに入水するグローリーハンター号

器用に馬かきして泳ぎます

器用に馬かきして泳ぎます

プールに入水すると“犬かき”ならぬ“馬かき”をして、前に進んで行きます。

すいすい泳ぐ、グローリーハンター号

すいすい泳ぐ、グローリーハンター号

プールはケガをしている脚に、負担をかけずにトレーニングできるのが最大の特徴。心肺機能の鍛錬になり、運動できないことによるストレス発散も。一般的に約30〜40秒で、プールを一周します。ちなみに泳ぎが上手いからといって、必ずしもレースでいい成績を残せるというわけではないとか。

後ろ向きで入水する馬もいます

後ろ向きで入水する馬もいます

 

スロープで体を反転して入水

スロープで体を反転して入水

続いて、後ろ脚から入水したのはマコトモンジョワ号(牝/4歳)。馬でも、泳ぐのが得意な馬と苦手な馬がいるそうです。人間と同じですね。

一生懸命に馬かきするマコトモンジョワ号

一生懸命に馬かきするマコトモンジョワ号

実は馬は鼻でしか呼吸しないため、泳いでいる時は鼻孔が震えてブルルルルッとものすごい鼻音がします。一生懸命に馬かきするマコトモンジョワ号。思わず「がんばれっ!」と応援したくなります。

メンコには温泉マークが♪

メンコには温泉マークが♪

あれっ? よく見ると、メンコ(馬の覆面)には温泉マークがついているじゃないですか! これは特注のメンコなんだとか。なにこれ、かわいいっ。

反対側のスロープでプールは終了

反対側のスロープでプールは終了

馬によって、トレーニングメニューはさまざま。泳ぎ終えると、反対側のスロープから上がってプールトレーニングは終了です。その昔、競馬シュミレーションゲームの「ダビスタ」の中で見たプール調教ですが、実際に見られるとは!

お馬さんの温泉へ

場内にある温泉施設に

場内にある温泉施設に

その日のトレーニングメニューが終わると、最後に場内の温浴施設に移動して温泉に入ります。通常は施設の外からの見学ですが、この日は特別に内部を取材することができました。

温泉に浸かる馬たち

温泉に浸かるお馬たち

温泉は専用のスロープに後ろから入り、脚の部分が温泉に浸かる、人間でいうと「足湯」のような浸かり方で入ります。背中には、温泉のシャワーで打たせ湯をしています。

おとなしく温泉に浸かる馬たち

おとなしく温泉に浸かるお馬たち

温泉は日本三大古泉のひとつ、いわき湯本温泉の源泉を使用。温泉タイムは約15分間。お湯の温度は38〜40℃で、人間が入っても気持ちいい温度なんですね。

メンコの温泉マークが似合いすぎて、こっちが癒やされる

メンコの温泉マークが似合いすぎて、こっちが癒やされる

温泉に入っている馬の瞳はとろ~んとしていて、温泉で癒やされている感がものすごく伝わってきます。表情を見ているだけで、こっちが癒やされるなあ!

マッサージをおねだりする馬も

マッサージをおねだりする馬も

こちらの馬は温泉だけでは飽き足らず、前脚でお湯をバシャバシャするなど落ち着かなかったんですが、担当の厩務員の方が首元をさすると途端におとなしくなりました。

早く良くなってね!

早く良くなってね!

どうやらマッサージをおねだりしていたみたい。屈腱炎ともなると1年以上の長期リハビリが必要になるそうですが、この温泉は筋肉の疲労回復を促進し、屈腱炎や関節炎などの治療に大きな効果があるとか。早く良くなって、競馬場で元気な姿を見せてほしいですね!

こうした競走馬の温泉施設は函館競馬場内にもあるそうですが、プール施設と共に一般の人が見学できる施設は日本でもここだけ! 競馬ファンならずとも楽しめる施設でした。

競走馬リハビリテーションセンターと同じ源泉に入れる「白鳥山温泉 喜楽苑」※閉業しました

日帰り温泉も楽しめる白鳥山温泉 喜楽苑

日帰り温泉も楽しめる白鳥山温泉 喜楽苑

競走馬リハビリテーションセンターから車で2分ほどのところにある「白鳥山温泉 喜楽苑」は、競走馬リハビリテーションセンターと同じ、いわき湯本温泉の源泉や鉱泉の湯に浸かれる温泉旅館です。(※こちらは閉業しました)

「白鳥山温泉 喜楽苑」の日帰り温泉も楽しむ

日帰り温泉を楽しむ

古くは「三函(さはこ)の湯」とも呼ばれ、約1,000年以上の歴史があるいわき湯本温泉。競走馬リハビリテーションセンターを見学したあとに、ここで日帰り温泉に浸かるのも一興ですね。(日帰り温泉は9:00〜15:00、入浴料は1人1,500円)

取材協力:いわき商工会議所

競走馬リハビリテーションセンター(競走馬総合研究所・常磐支所)

所在地:福島県いわき市常磐白鳥町上ノ原71
見学時間:9:00~17:00(月~金) 9:00~12:00(土) 休館(日曜日)
見学料:無料(団体の場合は下記連絡先に事前問い合わせ)
TEL:0246-43-3185(総務係)
公式サイト URL:https://company.jra.jp/equinst/rehabilitation/index.html
ブログ「馬の温泉だより」 URL:http://blog.jra.jp/onsen/

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