今回、訪れたのは知床半島と根室半島の間に位置する野付半島。ラムサール条約の登録湿地に指定されている野付半島は、全長26kmにも及ぶ日本最大の砂嘴(さし)と呼ばれるエビのような形をしていて、真冬になると半島の湾内が氷結するんです!ということで今回は、スノーシューを履いて凍った海の上を歩く人気のウォークツアーを体験してきました。
本記事は世界文化社運営のメディア「レアニッポン」にて2019年2月に掲載されたものですが、「レアニッポン」閉鎖に伴い、当ブログに記事を移行し加筆しました。
まずは野付半島ネイチャーセンターへ
ウォークツアーの起点となる野付半島ネイチャーセンターは、中標津空港から車で1時間のところにあります。フラワーロードと呼ばれる一本道を走ると、野生のエゾシカの群れやキタキツネをすぐ近くで見ることができました。まさに「北の大地」に来たということを肌で実感できるでしょう。
野付半島からわずか16km先に見える北方領土の国後島の端は蜃気楼で消え、まるで浮いているかのようでした。
野付半島ネイチャーセンターでは、野付半島の自然や歴史についての情報が提供されているほか、観光案内や特産品が販売されていて、1階のレストランでは「別海ジャンボホタテバーガー」などの個性的なメニューが人気です。
トドワラ・氷平線ウォークツアー体験
毎年1月中旬から3月上旬ごろまで、事前予約制で参加できる「トドワラ・氷平線ウォークツアー」が体験できます。「トドワラ」とは野付半島の真ん中あたりに位置する、かつて樹齢100年以上のトドマツが生い茂っていた場所のこと。ガイドさんから野付半島の概要とウォーキング時のレクチャーを受けて、いざ出発!
ウォークツアーの重要なツールとなるスノーシューは、料金に含まれていてレンタルできます。スノーブーツや手袋、アウターウェアなど、寒くならない装備を事前に準備していきましょう。
いよいよ、トドワラ・氷平線ウォークツアーに出発!
さて、トドワラ・氷平線ウォークツアーのルートは、行きは遊歩道を歩き、トドワラまで行った後、氷結した海の上を歩いて帰る、往復3km、2時間のウォークツアーとなっています。
この日の天候は快晴。しかし歴史的な寒波の影響により、この日の気温は日中でも平年よりも5℃ほど低いマイナス12℃。風がほとんどなかったのはラッキーでしたが、厚手の手袋をしていないと、すぐに手がかじかむほどの寒さでした。
遊歩道を歩きだすと、そこかしこにエゾシカやキタキツネなど、小動物のかわいい足跡が見て取れます。
かんじき型のスノーシューは軽くて、道中は足を取られることなく歩けました。ただ、慣れるまでは少しだけ歩きづらかったので、最初は一歩ずつ確実に歩みを進めましょう。
冬は荒涼とした雪原が広がりますが、毎年5月から10月にかけてはエゾカンゾウ、センダイハギ、ハマナス、クロユリといった植物たちがあたり一面を覆い尽くすそうです。もちろん、夏季にもトドワラまでの往復コースが人気なのだとか。
ここがトドワラ!到着しました
野付半島ネイチャーセンターから約1.3kmのところにある「トドワラ」に到着! 以前は多くのトド松があったそうですが、台風などで年々減少していて、今では数えるほど。いずれ風化して、見られなくなる日が来るかもしれませんね。
トドワラは陸と海のちょうど境目。氷から顔を出しているのは海草のアマモ。海の上を歩いている証拠ですね。
帰りは氷結した海の上を歩いていきます
トドワラに別れを告げて、帰りは野付半島ネイチャーセンターまで、凍りついた海の上を歩きます。そこは氷平線が延々と続く雪と氷の世界です。
雲ひとつないこの日は、真っ白な雪原と青空のコントラストをずっと眺めながら氷平線ウォークは終了。筆者は初めてスノーシューを経験しましたが、厳冬の野付半島の大自然を体中に感じながら歩くことができました。
冬のネイチャーツアーは、この他にも所要時間1時間の「氷平線ミニウォーク」や、スノーモービルが引くソリにのって氷平線を楽しむ「氷平線ソリツアー」もありました。
氷結した海の上を歩けるのは真冬のこの時季だけ。冬の野付半島に来たら、ぜひ体験してみてくださいね。
取材協力:根室振興局
野付半島ネイチャーセンター
URL:http://notsuke.jp/
TEL:0153-82-1270 (9時〜16時)
氷平線ウォークは事前予約制で1月中旬から3月上旬ごろまで実施 ※その年の結氷状況により変動します
午前の部、昼の部の1日2回。料金大人3500円 (スノーシュー代込み) ※小学生半額、幼児無料
予約は前日までに電話・または4日前までにメールにて受付。