デジタル化やAI化が進み、勝手におすすめを表示してくれたり、キャッシュレスで商品が買える自販機が増える一方、昔ながらの自販機、特に食べ物を販売する自販機は次第に数が減ってきました。そんな中、今なお数十台のレトロ自販機が現役で頑張っているスポットがあるとの情報を聞きつけ、神奈川県相模原市に向かいました。
やってきたのはJR横浜線・相模原駅。多摩エリア在住の僕は、この駅前から出ている相武台前駅行きのバスに乗って現地へ向かうのが一番早く着くルート。都心からであれば、新宿から小田急線で相模大野駅へ出て、相模原駅行きのバスで向かうのが最短距離です。
本記事は世界文化社運営のメディア「レアニッポン」にて2019年11月に掲載されたものですが、「レアニッポン」閉鎖に伴い、当ブログに記事を移行し加筆しました。
相模原駅からバスで向かう
相模原駅前の市街地から幹線道路に抜け、走ることおよそ20分。最寄りバス停の「相模原浄水場」に到着です。
中古タイヤ市場 相模原店
地図を頼りに幹線道路から一本入った道路を進むと、見えてきたのは多くのタイヤが積まれた工場。ここがレトロ自販機が集まる「中古タイヤ市場 相模原店」。しかし、ここからは自販機が全く見えず……。スタッフさんに聞くと、どうやら店の裏側にあるそうです。
店の裏手の駐車場に回ってみると、おお! ありました!
そこにはおよそ50mにわたって、懐かしの自販機がずらり。ものすごい数です。
ペプシの瓶の自販機とか懐かし〜。僕みたいな団塊Jr.世代は、飲んだあとに瓶を返すと数十円戻ってくるという、人生初のキャッシュバックをこの自販機で体験した人も多いハズ。
その多くが、40年以上前の昭和時代に活躍していた懐かしの自販機ばかり。うどんやそば、ラーメン、トースト、ハンバーガーといった食品系の自販機が中心です。ここでは、今なお現役で活躍しているんですね。
この光景を見たら、食べずに帰れません。
さっそく、自販機で何か買ってみようと財布から小銭を…。おっと、僕自身のキャッシュレス化が進んで、小銭をほとんど持ってなかった。どこかに両替機ないかな?
店のスタッフさんに聞いたら、事務所隣のゲームコーナーの中にありますよと嬉しい返答。ただし両替できるのは千円札だけなので、五千円札以上の場合は、事前に千円札や小銭を準備しておいたほうが良さそう。
千円札を100円玉10枚に両替してと。よっしゃ、これで何食べよかな?
レトロ自販機にチャレンジ
まずなんといっても気になるのが、「うどん・そば」の自販機。その昔、見たことあるけど食べたことはなかったんですよね。
ここで売っているのは「天ぷらそば」と「天ぷらうどん」の2種類。
価格はどちらも300円。コインの投入口から1枚ずつ100円玉を投入していきます。「天ぷらうどん」のボタンを押すと「できあがりまで」の表示に「25秒」と点灯して、1秒ずつカウントダウンしていきますよ。
自販機の中で「ガタン、ジジジジ…」という、アナログな機械音が鳴り響くこと25秒。取り出し口にプラスティック製の丼に入った「天ぷらうどん」が降臨です。
出てきたのは、かき揚げの天ぷらとかまぼこが入った立派な「天ぷらうどん」じゃないですか!これは美味しそう〜!
続いてはトーストサンド。こちらも、かなり年季の入った自販機です。
ラインナップは「ハムチーズトースト」と「コンビーフトースト」の2種類で、どちらも300円です。
特注で作ったというアルミ箔に包まれていて、アッツアツ。
2枚のトーストの中には、たっぷりのコンビーフが!! UCCの缶コーヒーと一緒に食べれば、間違いなしの美味しさです!
どんどんいきましょう。次はトーストサンドの隣にある「ほっかほかハンバーガー」のレトロ自販機。これもその昔、見たことあるけど、食べたことはなかったなあ。60秒でほかほかのハンバーガーが食べられるそう。
ラインナップは、「ハンバーガー」「チーズバーガー」「テリヤキバーガー」の3種類で各280円です。
60秒後に鳴る「ピンポン♪」の合図とともに出てきたのは、手の平サイズの箱。
厚みのあるハンバーグを、とろっとしたチーズがコーティング。なかなか食べ応えのあるチーズバーガーでした!
社長の斉藤さん
さて次は何を食べよかな、と物色していると、ラーメンの自販機を開けて作業を始める男性が。こちら、この中古タイヤ市場の社長・斉藤辰洋さん。ちょうどラーメンを補充しているところでした。
聞くところによると、自販機の商品補充はメーカーではなく、斉藤さんの会社のみなさんでやっていて、最近は来客数も増えたことから、1日2〜3回は補充しているそう。この自販機を全部補充するのは、数人でもかなりのハードワークなんだそうです。
しかもラーメンやうどん・そばといった麺類は、斉藤さんの会社のスタッフさん総出で準備して補充しているそうで、週末にもなると1日500杯ほど作って補充しているのだとか! ものすごい量ですね!
もともとは8年前にオークションでレトロ自販機を買ったのが始まりで、少しずつ数が増えていき、今では全部で47台もの自販機が稼働しているようです。来年には、あと数台の新たなレトロ自販機が仲間入りするそうですよ。
レトロ自販機は製造していたメーカー自体がなくなると交換部品がないことから、そのまま廃棄処分になるケースも多いそうですが、斉藤さんは壊れた部分や配管をご自身で改造して直してしまうのだそう。レトロ自販機に対する深い愛情を感じました。
ということで、最後に補充されたばかりのラーメンをいただきましょう。ラインナップはラーメン(300円)とチャーシューメン(400円)の2種類。
チャーシューが5枚も載った、立派なチャーシューメンじゃないですか!
僕はこれまで自販機フードをほとんど食べたことがなかったので、懐かしさを感じながらも新鮮な体験だったなあ。一定の年齢以上の方は懐かしさを、若い世代は目新しさを感じながら、取材中も幅広い世代がひっきりなしにレトロ自販機フードを楽しんでいました。
東京近郊で、しかも電車でアクセスできるレトロ自販機コーナーは、かなりレア。まさにワンダーランドというに相応しい「中古タイヤ市場 相模原店」は、レトロ自販機ファンだけでなく、幅広い世代の方に楽しんでいただけるスポットです!
中古タイヤ市場 相模原店 自販機コーナー
所在地:神奈川県相模原市南区下溝2661-1
営業時間:自販機コーナーは24時間営業
定休日:年中無休(年末年始をのぞく)
URL:https://www.tire-ichiba.co.jp/retro.html
あわせて読みたい
- 【神奈川の珍スポット】自販機だらけの湘南クッキーアウトレット店に行ってみた
- 三重県大台町のご当地ドリンク自販機が大台町観光協会案内所「奥伊勢テラス」にある!全種類飲んでみた #大台町PR
- 【伊豆大島】に24時間営業のお店があった!?