こんにちは!東京散歩ぽです。
「Cinema A La Carte」の柳下修平さんにご招待いただき、2016年1月16日(土)から公開の映画「白鯨との闘い」を試写会で一足お先に鑑賞してきました。
小説「白鯨」の元になったという実話を描いたこちらの作品は人間の尊厳を含めた”答えのない”とてつもなく骨太な人間ドラマが描かれた作品です。
かつて鯨油(げいゆ)を求めて男たちは大海原に出航した
「白鯨との闘い」はハーマン・メルヴィルの名著「白鯨」の元になった1819年のアメリカの捕鯨船「エセックス号」に襲いかかった悲劇が描かれています。
19世紀中頃に石油が発掘されるまで、鯨から取れる「鯨油(げいゆ)」を灯火用の燃料油として使用していました。鯨油は貴重な油だけに投資の材料として高値で取引されていた時代です。
主人公のオーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)も鯨油全盛期に生まれ、船長になるという望みを持ちながらも一等航海士として妻子のため、鯨油を求めてアメリカのナンタケットという港町から大海原に出航するところから物語は始まります。
当時の鯨漁は帰ってくるまで時に何年もかかる命がけの仕事です。チェイスは新人船長のポラード(ベンジャミン・ウォーカー)との確執を持ちながらもエセックス号は航海を進めますが、鯨は思うほど獲ることができず1年以上も航海を続け、とある町で巨大なマッコウクジラが出現しているという話を耳にします。
そして太平洋沖4,800kmの海域で「白鯨」のモデルになった体長30m級の巨大なマッコウクジラに遭遇するが…。
迫り来る嵐、そして白鯨との死闘が壮絶
ジェットコースターのような激しい嵐に遭遇するシーンはものすごい迫力!今回は2Dで見たんですが3D映画見ればさら迫力映像が楽しめそう!
鯨の漁がかつてどのような形で行われていたのかこの映画を見るまでは知りませんでした。乗組員を演じる俳優陣は帆船一隻を操れるほどの技術を習得して撮影に臨んだほどでその手際の良さが作品をよりリアルに見せてくれます。
そして迫り来るマッコウクジラはエセックス号をはるかに凌ぐ巨大なスケールで描かれています。
人知を超えた怪物を前に人間は何て無力なんでしょうか。当時の人々が如何に困難な鯨漁をして命がけで鯨油を手にしていたのかがこの映画でうかがい知ることができます。
本当の闘いは自分の中にある
「事実は小説よりも奇なり」なんて言葉があります。
白い巨大なマッコウクジラ(白鯨)との壮絶な闘いがこの映画のテーマだと思って見ていたんですが、真実のドラマは白鯨との闘いの後に訪れます。
青く澄んだ太平洋のど真ん中で否応なしに突きつけられる、その現実を目の当たりにした時「もし、自分がこの状況ならどうしているだろう?」と多くの方が自問自答してしまうことでしょう。
それだけ、この真実が人間の尊厳を含めた”答えのない”とてつもないテーマを映画にしていることに圧倒されてしまいました。
ロン・ハワード監督が圧倒的なリアリティで描く
監督と製作は「アポロ13」(1995)や「ビューティフル・マインド」(2001)のロン・ハワード監督。「アポロ13」でも実話を元にした”極限の巨匠”がさらにとてつもない極限の世界へとみなさんを誘います。
主人公のオーウェンを演じるのは「マイティ・ソー」シリーズ、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(2015)のクリス・ヘムズワース。武骨でタフだけどめちゃくちゃイケメン俳優なんですよね。
オーウェンと対立するポラード船長には「リンカーン/秘密の書」(2012)でリンカーンを演じたベンジャミン・ウォーカー。インセプション(2010)のキリアン・マーフィー、「白鯨」の著者ハーマン・メルヴィルには「007 スカイフォール」(2012)「007 スペクター」(2015)のベン・ウィショーが演じます。
この映画を見て、大自然の前で人間はなんて無力なんだろうと改めて感じてしまいました。作品後半に見せる俳優陣の変貌ぶりにも是非、注目してご覧下さい!