こんにちは、東京散歩ぽです!
港区元赤坂にある「迎賓館赤坂離宮」では、2024年4月11日(木)より「迎賓館開館50周年記念事業」をスタートさせます。
今回はイベントに先駆けて迎賓館赤坂離宮内の部屋がメディアに公開されましたので取材してきました!
「迎賓館開館50周年記念事業」がスタート
迎賓館赤坂離宮といえば、1909年(明治42年)に東宮御所として建設され、1974年(昭和49年)からは現在の迎賓館として、国賓を迎える接遇の場として活用されている国宝の建築物です。僕らの本の中でもご紹介しましたね。
今年4月から来年3月までは開館50周年を記念して、様々なイベントが開かれます。
その第1弾として、これまで非公開だった「西の間」が初公開。7月には「羽衣の間」が、8月には「花鳥の間」が期間限定で撮影OKになります。さらに9月には、かつて喫煙室だったムーリッシュ様式の「東の間」が特別公開されます。
その他にもゴールデンウィーク(5/3〜5/5)や秋(9月に3日程度)、冬(12月に2日程度)に夜間後期や本館ライトアップなどの「ガーデンカフェ」が開催予定。エラールピアノの演奏会(※別途有料)や迎賓館写生大会(10月に2日程度)なども開催を予定しています。
詳細のイベント情報は、こちらの特設サイトをご覧くださいね。
迎賓館赤坂離宮を見学してきた
ということで今回は、通常撮影NGな迎賓館赤坂離宮内を特別に撮影することができました。今後のイベントなどで公開される部屋を見学していきます。
まずは立派な正面玄関から中へ。鉄扉には上部に皇室の紋章「菊花」と扉の左右には桐の紋章があしらわれています。
正面玄関
正面玄関から入るとそこには真紅の絨毯が!床はイタリア産の大理石や宮城県産の玄昌石を用いられていています。
中央階段を登ると2階の「朝日の間」に通じる大ホールへをつながります。
2階は後ほど紹介するとして、まずは4月11日から公開が始まる「西の間」へ行ってみましょう。
西の間(4/11(木)〜4/26(金))
今回初公開となる「西の間」は建設当初「御書房」と呼ばれていて、当時の皇太子殿下のご学習用の図書を収蔵する部屋でした。
内装はすべて英国で調達したチーク材が用いられ、天井からは豪華なシャンデリアもみられます。
かつて本が収められていた書棚には現在、各都道府県の代表的な民芸品や工芸品(100点)が収蔵されています。
福岡県からは「博多織」の帯(紅白一対)が収蔵、
京都府からは「舞妓」の京人形も、
沖縄県からは漆器「朱塗山水東道和盆」など、各地のお宝がみられます。
部屋の脇には読書できそうな素敵な小部屋が(こちらは立ち入りできません)。
さらに書棚の中間にはひっそりと螺旋階段が左右に2か所設置されていました(こちらも立ち入りできません)。
階段上がって2階には人1人が歩けそうな通路があり、こちらにも書棚が!
部屋の細部の意匠はどれも素晴らしくて『ハリー・ポッター』シリーズに出てくるダンブルドア先生の部屋のようにわくわくする部屋でした。
サロン(美術品(花器など)が5月頃公開)
こちらの「サロン」は、迎賓館に訪れた賓客の随員や随行員の休息や団らんの場として利用されている部屋です。
創建時は「伺候之間」として使用され「奥広間」とも呼ばれたそう。
今年5月頃にはこちらのサロンにて、国内外で高く評価される明治の名工、紹美栄祐(じょうみえいすけ)が製作した「宇治嵐山の景」や、三代 清風与平(せいふうよへい)が製作した「天目釉雲龍班」などの美術品や花器などが公開される予定です。
本館西玄関
こちらの本館西口の「西玄関」と反対側の「東玄関」のホールには画家の藤田嗣治(レオナール・フジタ)が描いた絵画が6点展示されています。
こちらの絵画はもともと、コロンバンを創業した門倉国輝さんの依頼で1935年(昭和10年)に銀座コロンバン2階のサロンの天井画として描かれました。その後、戦時中に疎開して、戦後は保管されていたものが寄贈され、修復されたのちに現在は6枚の絵画として西玄関に2点、東玄関に2点、館内に2点の計6点が展示されています。
東の間(9月頃公開)
続いて向かったのは9月頃に公開が予定されている「東の間」。
かつては「エジプトの間」と呼ばれ、喫煙室として利用されたこちらの部屋はスペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿に代表される8世紀に流行したイスラム様式のひとつ「ムーリッシュ様式」で設えられました。
豪華絢爛な室内にはフランス産のエスカレットという薄桃色の大理石を使用した28本の円柱があり、両サイドには休憩スペースも。
窓ガラスにはイギリスから輸入した美しいステンドグラスあり、多様な文化が入り混じります。
この部屋はとにかく意匠が繊細で美しく、ずっと見入ってしまいます。
腰壁のタイルはフランスの瓦師が焼いたという彩色タイルが部屋に彩りを加えています。
一体どれだけの時間がかかったのだろう。
見どころ満載の「東の間」です。
2階の大ホールへ
続いては先ほどの階段を昇った2階にある「大ホール」や通常の参観で見られる部屋をご紹介していきます。
こちらの「大ホール」は、イタリア産大理石、ブレッシュ・ビオレットが使用された8本のコリント式大円柱がドーム型のホールを支えます。
先ほど紹介した階段を2階から眺めるとこんな感じ。これ以上豪華な階段は見たことがありません。
昇った先には「朝日の間」があります。
朝日の間
「朝日の間」は各国要人の表敬訪問や首脳会談などが行われる部屋です。
部屋の四隅には大きな燭台とフランスから輸入したシャンデリアが部屋を照らします。壁には緑色の紋ビロード織があしらわれていて豪華絢爛な装飾です。
天井には100年以上前にフランスの工房で描かれた立派な天井画が!この天井画は25ヶ月の月日を経て修復され2019年に再公開されました。
羽衣の間(7月頃に期間限定撮影解禁)
7月頃に期間限定で撮影が解禁される「羽衣の間」はかつて「舞踏室」とよばれていました。
天井画はフランスの画家が「虚空に花ふり音楽聞え、霊香四方(れいきょうよも)に薫ず」という謡曲「羽衣」の一節を、曲面画法で描いていて、見る位置によって立体的に見えます。
こちらの天井にはクリスタルガラスを付帯に約7,000個ものパーツで組み上げた大きなシャンデリアが三基も設置されています。
中二階にはオーケストラボックスがあり、その手前には昭和天皇の后、香淳皇后ゆかりの貴重な「エラールピアノ」が設置されています。今年6月頃と11月頃にこちらのエラールピアノの演奏会が開催予定です(※別途有料)。
花鳥の間(8月頃に期間限定撮影解禁)
晩餐会が行われる「花鳥の間」は8月頃に期間限定で撮影が解禁されます。
木曽産のシオジ材を用いた内装の意匠は、フランスで16世紀に後半に流行したアンリ2世様式。重厚感がありながらも優雅な設えです。
壁には四季の草花の中で戯れる鳥を表現した七宝焼が30枚飾られています。野鳥好きの奥さんが大興奮でした!
随所に見られる装飾はきめ細やかでエレガント。当時の工芸の粋が散りばめられています。
晩餐会用の食器やカトラリーも見られました。このティーカップでお茶を飲めばなんでも美味しく感じてしまいそう!
彩鸞の間
最後に「彩鸞(さいらん)の間」を見学。こちらは総理大臣と外国の国家元首の首脳会談や条約調印などにも使われています。
室内にはアンピール様式で統一。10枚の大きな鏡があり、部屋をさらに広く見せています。
大鏡の上には古代中国の想像上の鳥「鸞」のレリーフが。
他にも鎧や剣、兜、スフィンクスなどの金箔レリーフがほどこされていて、ナポレオン1世の帝政時代の華やかさを感じられる部屋です。
ということで「迎賓館開館50周年記念事業」と迎賓館赤坂離宮内をまとめてお伝えしました!
一部のプログラムを除いて、通常料金のみで楽しめる特別な企画ばかりなので、ぜひこの機会に行ってみてくださいね。
迎賓館開館50周年記念事業
開催期間:2024年4月11日(木)〜2025年3月まで
※国公賓等の接遇、その他迎賓館の運営上の都合により非公開に変わる場合あり、詳しくは公式サイトをご確認ください
場所:迎賓館赤坂離宮(東京都港区元赤坂2丁目1−1)
入場料:本館・庭園(一般:1,500円、大学生:1,000円、中高生:500円、小学生以下:無料)
和風別館・本館・庭園(一般:2,000円、大学生:1,500円、中高生:700円※小学生以下はご参観いただけません)
和風別館・庭園(一般:1,500円、大学生:1,000円、中高生:500円 ※小学生以下はご参観いただけません)
庭園(一般:300円、大学生以下無料)
迎賓館赤坂離宮 | 内閣府
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